しっくい壁がつくる“静けさ”と“余白”

いま事務所の内装のクロス張りを漆喰に変更しようと考えているところです。

時間を作って、自分で塗ってみようと。

…なかなか時間がないんですが。

 

そこでしっくいの良さ、設計に取り入れるべきポイントをまとめてみましたので

ご紹介したいと思います。

 

■ 素材を削ぎ落とすことが、空間を豊かにする

マイナスデザインでは機能や装飾を加えるのではなく、必要なものだけを残していく「引き算の設計」を大切にしています。
その中で、しっくいの壁は単なる仕上げ材ではなく、「空間の空気感」を決める重要な素材のひとつです。

 

■ なぜ、私たちは“しっくい”を選ぶのか?

  1. 空間の「余白」をつくる質感

しっくいの壁は、光をやさしく受け止め、空間全体に柔らかな静けさをもたらします。
マットでノイズのないその表情は、住まいにおける視覚情報を最小限に抑え、心を整える余白を生み出します。

  1. 機能が“見えない”ことの美しさ

しっくいには吸放湿や防臭といった機能がありますが、それを声高に語ることはありません。
ただ静かに、空気を整える。
目立たず、確かに働く素材であることこそ、私たちがしっくいに惹かれる理由です。

  1. ムラも、手跡も、味わいとして受けとめる

完璧にフラットな壁面ではなく、職人の手によるわずかな揺らぎが残る。
この不均質さの中にこそ、自然素材のリアルな美しさがあります。
「均一=美」ではないと考える私たちにとって、しっくいはまさに“魅せない美”を体現する素材です。

 

■ 設計の中でどう使うか ー 静けさを届けたい場所に

しっくいを使う際、私たちは全体に施すのではなく、“この壁だけ”というポイント的な使い方をよくします。

  • たとえば、光が印象的に入る壁一面にだけしっくいを使う
  • または、玄関や洗面など短時間しか滞在しない空間に、記憶に残る空気感をつくるために使う

これは、静けさの濃度をコントロールする設計ともいえます。

 

■ 「白い壁」ではなく「空気を変える壁」

私たちにとって、しっくいの壁とは
ただの白い仕上げではありません。
それは、空間の呼吸を整える静かな装置です。

「ただ何もない壁が、美しい」
そう思える空間には、実は多くの意図と技術が込められています。

しっくいは、その静かな裏側を支えてくれる、誠実な素材です。

 

いかがですか?

壁だけではなくて、空気をも変えてしまうところが

しっくいの素晴らしさかもしれません。