「少しだけ設計に入ってほしい」という難しさ

設計の仕事をしていると、
時々こんなご相談をいただくことがあります。 「基本的な計画はできているので、少しだけアドバイスをもらえませんか?」
「そのついでに良くなる提案があればぜひ」 もちろん、そう言っていただけること自体はありがたいことです。
頼っていただけることは、素直に嬉しい。 ただ実際には、ここに設計という仕事の難しさがあります。 建築は、完成した一部分だけを見て判断できるものではありません。 コンセプト。
動線。
予算。
構造。
素材。
光。
使い方。 それぞれが少しずつ影響し合いながら、全体のバランスをつくっています。 だから設計とは、
「あとから少し整える仕事」ではなく、
初期段階から積み重ねていく仕事なのだと思っています。 例えるなら、料理に少し似ています。 すでに完成間近の料理に途中から参加して、
「もっと美味しくしてください」と言われても、
味の方向性や火入れの意図を知らなければ、責任を持った判断は難しい。 もちろん、部分的なサポートが必要な場面もあります。
確認申請や法規チェックなど、役割を限定した関わり方が適切なケースもある。 ただ、“設計そのもの”に関しては、
途中から少しだけ関わるということが、実はとても難しい。 それは、設計が「図面を描く作業」ではなく、
全体の思想と積み重ねによって成り立っているからです。 だからこそ私たちは、
「どこまで責任を持てるか」を大切にしたいと思っています。 設計とは、形を整えることではなく、
全体のバランスに責任を持つ仕事なのだと思います。

MINUS DESIGN BLOG

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