昔、家づくりの打ち合わせでは
「LDKは20帖欲しいです」
「子供部屋は6帖必要です」
そんな会話が当たり前のように交わされていた。
もちろん今でも、その考え方は残っている。
けれど最近は、少しずつ変化も感じるようになった。
本当に必要なのは、
“広さ”なのか。
それとも、“豊かさ”なのか。
建築費が年々上がり続ける中で、「どうコストを抑えるか」は、
家づくりにおいて切っても切れない大きなテーマになっている。
その中でまず削られるのが、“面積”だ。
けれど、ここにひとつ大きな誤解がある。
人は、数字だけで空間を感じているわけではない。
たとえば同じ16帖のLDKでも、
天井の高さ、窓の位置、視線の抜け、光の入り方によって、
感じる広さはまったく変わる。
逆に、ただ広いだけの空間は、
どこか落ち着かず、余白を持て余してしまうこともある。
大切なのは、“帖数”ではなく、
その空間でどんな時間を過ごせるか。
数字で測れる豊かさには限界がある。
だからこそ設計は、
「何帖にするか」だけではなく、
「どう感じるか」を考えなければいけない。
では、どうすれば“感じる広さ”をつくれるのか。
それは、単純に面積を増やすことではない。
たとえば、
- 視線が遠くまで抜ける配置にする
- 窓の高さを揃えて空間に連続性を持たせる
- 外部(庭や空)を室内の延長として取り込む
- 天井高さに抑揚をつける
- 光と影に奥行きをつくる
そうした“小さな設計”の積み重ねが、
数字以上の広がりを生む。
家づくりは、
「大きい家をつくること」ではなく、
「心地よく感じる場所をつくること」だと思う。
数字では測れないものの中にこそ、
暮らしの豊かさは宿っている。

