音の設計と家族の距離感

食卓に流れる静けさは、時にいちばん豊かな音かもしれません。
テレビを消した夜、鍋の湯気が立ちのぼり、
箸の音だけがやさしく響く。
誰も話していないのに、空気があたたかく感じられる瞬間。 建築における「音の設計」は、
ただ静かにすることではなく、
その空間の響きかたを整えること。 たとえば、天井や壁の素材が少し柔らかいだけで、
音は角を失い、やさしく広がります。
それは家族の声や気配を包み込むような、穏やかな響きです。 ダイニングとリビングをほんの少し離してつくると、
音のリズムにも間が生まれます。
お互いの存在を感じながらも、
それぞれの時間をそっと尊重できる距離。 それが、長く心地よく暮らすための
音の間取りなのかもしれません。 静かな食卓には、感情の温度と、空間の優しさが重なっている。
そこに流れているのは、沈黙ではなく、
安心の音。

MINUS DESIGN BLOG

心に残る空間づくり。
自分たちらしく暮らすために、
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そんな問いを一緒に考える、
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