照明は、ただの「明るさ」ではなくて、同じ明るさでも光の色が違うだけで、
人の感じ方や空間の雰囲気はまったく変わります。
設計で大切にしているのは、光を温度として捉えること。
目に見えないけれど、確かに心に触れるものだからです。
今回は「色温度」をテーマに、部屋ごとのおすすめ設定や、
調光・調色の上手な使い方を紹介します。
1) 色温度とは
色温度とは、光の色味を表す単位(K:ケルビン)。
数値が低いほどオレンジっぽく(暖色)、高いほど青白く(寒色)見えます。
・2700K前後 → 白熱灯のような暖色
・4000K前後 → 自然光に近い中間色
・6000K前後 → 昼光色(やや青み)
2) 部屋別の適正色温度
空間
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推奨色温度
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理由
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リビング・寝室
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2700〜3000K
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温かみとリラックス感
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ダイニング
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3000〜3500K
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食材を美味しそうに見せる
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キッチン・洗面
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4000K前後
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手元が見やすく清潔感あり
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書斎・子ども部屋
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5000K前後
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集中力を高める
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3) 調光と調色の使い分け
最近のLED照明は「調光」だけでなく「調色」も可能。
日中は白く、夜は暖かく、
時間帯に合わせて切り替えることで、
体内リズムも自然に整います。
設計段階でスイッチ位置やシーン設定を考えると、
“暮らし方に寄り添う照明”が実現します。
4) 実際の事例比較
同じリビングでも、
白い光では「現代的でクリーン」、
暖色では「落ち着いた温もり」を演出できます。
素材の木目や壁の質感も、
光の温度によって表情を変える。
設計ではこの「見え方の変化」まで想定して、
仕上げを選ぶことが大切です。
家づくりで照明を“後回し”にするのはもったいない。
光の色を意識するだけで、
同じ間取りでも心地よさは驚くほど変わります。
「光はデザインの一部」。
そう思って選びましょう。