風化

今日は以前、当事務所で新築を建てられたお客様の家にメンテナンスで伺いました。

外まわりに使った木部が、
風雨にさらされ、色が少しずつ落ち着いていて…
それはもう、なんとも言えない良い風合いに育っていました。 既製品のような均一な素材では決して出せない、
自然素材ならではの、静かな味わい。
それを見た瞬間、個人的にはもう大満足! 私は、田舎の築100年を超える木造の小学校で育ちました。
床は傷だらけで、節の抜けた床の穴から下を覗くと 地面の土が見えていて、コオロギなんかもいましたね。 窓はペラペラの単板硝子でギイギイと音が鳴る。
でも、あの独特の匂いや木の温もりは今でも忘れられません。 私が卒業して数年後、コンクリート造の校舎に建て替えられた時は
少し寂しさを覚えました。 もしかすると、あの木造校舎で過ごした時間が
今の私の設計の根っこに、染みついているのかも・・・ だからこそ、「風化すること」は決してマイナスではないと思うのです。 時間の経過とともに、住まいは少しずつ変化し、
家族と一緒に、呼吸するように育っていく。
その過程そのものが、住まいの美しさだと考えています。 完璧じゃなくていい。 育っていく家が、きっと心地いいんだと思います。

MINUS DESIGN BLOG

心に残る空間づくり。
自分たちらしく暮らすために、
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