設計の打ち合わせで「壁が多くて、暗くなりませんか?」と
不安の声をいただくことがよくあります。
ですが、だからといってすべての壁に窓を設ければ良いわけではありません。
マイナスデザインの考え方は、
「明るい=正義」ではなく、
“暗さがあるからこそ、光が生きる”というもの。
陰があるからこそ、光は深く感じられる。
その対比の中にこそ、空間の表情や心の余白が生まれると考えています。
ただ明るいだけの家ではなく、
時間とともに変わる光と影を楽しめるような住まいを
丁寧に設計していきたいと思っています。
家の中の“気持ちよさ”は、
間取りや仕上げよりも、実は「光の質」で決まると考えています。
光の質は、窓の向きと時間帯によってまったく異なります。
今回はそんな「光と住まいの設計」について、考えてみましょう。
1) 向き別の光の特性
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東向きの窓:やわらかい朝日が入る。寝室や朝のダイニングに最適。
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南向きの窓:一日を通して安定した明るさ。リビングなど中心空間に。
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西向きの窓:夕方に暖かく印象的な光が差し込む。書斎や廊下に効果的。
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北向きの窓:直射日光が少なく、柔らかく均一な光。アトリエなどに向く。
窓は“採光”だけでなく、“時間の演出”でもあります。
どの方位に何を配置するかで、住まいの印象が大きく変わります。
2) 生活時間に合わせた窓計画
家族の暮らしのリズムを思い浮かべてみましょう。
朝に集まる場所は明るく、夕方にくつろぐ場所は陰影を感じる程度に。
設計段階で「時間の設計図」を描くことが、
快適な住まいの第一歩です。
3) ブラインドとカーテン選び
光はコントロールできます。
木製ブラインドなら影が美しく、
レースカーテンなら柔らかな拡散光に。
素材の選び方ひとつで、印象がまるで違う空間になります。
4) 写真で見る時間差効果
同じ部屋を午前と午後で撮影してみると、
光の角度・濃度・影の長さがまるで違う。
その変化をどう活かすかが、設計者の腕の見せどころです。
光は“固定”するのではなく、“流れ”として捉える。
そんな視点で窓を計画すると、
毎日の暮らしが少しだけ豊かになります。
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