家を資産にしない建てかた

物価が上がる今、家づくりはどう変わっていくのでしょうか。

建材の高騰、物流費の増加、人件費の上昇。
ここ数年、家を建てるコストは確実に上がっています。 同じ予算でも、10年前と比べて建てられる家は小さく、選べる素材も限られる。
でも、それは決して“悪い変化”ではないと、私たちは考えています。
家を「資産」にしないという選択

かつては「家を資産として持つ」ことが一般的でした。
立派な構造、広い間取り、将来の売却益を見据えて…。 でも今は違います。
家の価値は時間とともに下がる一方、土地の価値は比較的安定しています。
つまり、「土地を資産に、家は暮らしの道具に」という発想にシフトしていく時期に来ています。
小さく、フレキシブルに住まう

広さを求めず、必要な分だけ。
構造も堅く固定せず、あとから間取りや使い方を変えられる柔軟さを持たせる。 例えば、 「家族構成の変化に応じて部屋を仕切れるようにしておく」 「将来的に平屋に建て替えやすい構造を選ぶ」 「メンテナンスしやすい素材・設備を選んでおく」
こうした工夫で、住まいの“寿命”と“自由度”を伸ばすことができます。
「一生住む家」より「いま心地いい家」

人生はどんどん変わります。
仕事も、家族も、ライフスタイルも。
だから家も、「一生モノ」でなくていい。 むしろ、「いまの暮らしにちょうどいい」サイズや仕上げで建て、
将来は手放す、リノベする、貸す、建て替える…。
そんな柔らかい考え方が、これからの家づくりには合っているように思います。

家にかけすぎないから、暮らしが豊かになる

予算を家にすべて使い切ってしまうと、
家具や生活、趣味、旅行など「暮らしの楽しみ」に余裕がなくなってしまいます。 小さく建てて、ほどよく抑える。
その分、日々の暮らしに目を向けられる余白が生まれる。 マイナスデザインでは、そうした考えのもとに
「小さくて、可変的で、静かな家」を提案しています。
以上を踏まえて、これからの住まいの選びかたをまとめてみると…
  • 家は「所有」ではなく「暮らす場所」
  • 土地を資産に、家は道具として
  • 小さく建てて、将来も動ける自由さを
  • 引き算の設計で、コストも暮らしも整える
家を建てることは、未来の自分に“身軽さを贈ること”かもしれません。

そしてそう思える時代は、すでに始まっているように感じています。