家づくりで「失敗したくない」という声はとても多いです。
けれど実際に多くの方と打合せをして感じるのは、
“失敗の定義”が人によって違うということです。
ある人にとっては、
「もっと収納を作ればよかった」が失敗。
別の人にとっては、
「収納を作りすぎて部屋が狭くなった」が失敗。
どちらも間違いではなく、
“自分たちの暮らしに対してどんな優先順位を持っていたか”の違いなんです。
▷ よくある失敗例
・広さばかり意識して「落ち着かない空間」になる
・採光を優先して「夏が暑すぎる」
・キッチンを開放的にしすぎて「匂いと音が気になる」
・家具を置いたときに「動線が重なる」
これらはすべて、“暮らし方”のイメージよりも
“間取り”が先に走ってしまったときに起きやすいこと。
▷ 失敗を防ぐために大切なのは「対話」
私たち設計者にできるのは、
失敗をゼロにすることではなく、
「どんな失敗なら許せるか」を一緒に見極めること。
すべてを完璧にしようとすると、家の表情が消えてしまう。
それよりも、「これが私たちらしいね」と笑える家のほうが、ずっと長く愛されます。
▷ 失敗を怖がらず、対話を増やす
家づくりのプロセスには、迷いと発見がセットです。
その迷いを共有できる関係こそが、良い家をつくる基盤。
だからこそ、「失敗を隠す」のではなく、
「どんな失敗が起きやすいか」を話しながら、
一緒に選択していく設計でありたい。
失敗は、避けるものではなく、学ぶもの。
家づくりは、その繰り返しの中にあります。