コロナ禍を経て、在宅ワークが当たり前になった今。 多くの方から「家で集中できる場所が欲しい」という相談をいただくようになりました。 でも実は、集中できる空間づくりに必要なのは、広さでも立派なデスクでもありません。 確かに、完全に独立した書斎があれば理想的かもしれませんね。 でも、多くの住宅でそれは現実的ではありません。 それより大切なのは「心理的な境界をつくること」です。 心理的な境界について、いくつかご紹介します。 まずは「視線の境界」 リビングの一角でも、本棚やパーテーションで「仕切り」を作る。 完全に遮らなくても、視線がさえぎられるだけで集中力は格段に上がります。 そして次に「音の境界」 家族の生活音が気になる方も多いでしょう。でも、完全な防音は難しい。 それよりも、適度な「背景音」のある環境の方が実は集中できたりします。 例えば、中庭に面した場所なら、風で揺れる木々の音が自然なホワイトノイズになります。 最後に「光の境界」です。 北側の安定した光が、実はワークスペースには理想的です。 ですが、一日中同じ光では疲れてしまいます。 時間とともに変わる光を感じられる場所。 朝の優しい光、昼間の力強い光、夕方の温かい光。 そんな光の変化も、実は仕事のリズムを整えてくれます。 そして更に「ながら作業」を許す空間も〇です。 キッチンやリビングを見渡せる位置にあるワークスペースも 「集中できないのでは?」と思われるかもしれませんが、実際は逆。 家事をしながら、家族の様子を見ながら、 そんな「ながら作業」ができる場所の方が、長時間無理なく働けたりするのです。 また、小さくても「自分だけの場所」も大切です。 重要なのは面積ではなく、「ここは自分の場所」という感覚。 階段下の小さなスペースでも、窓辺のカウンターでも構いません。 そこに座ったら「仕事モード」になれる、そんな特別感のある場所を作ることが大切。 在宅ワークは、働く場所を家に持ち込むことではなく、 暮らしの中に、自然に仕事が溶け込む空間をつくることだと考えています。 そのためには、家族それぞれの時間や距離感を大切にした設計が必要不可欠。 「集中できる場所」は、間取りや設備だけでは生まれません。 光の入り方、風の通り道、家族との距離感、時間の流れ方。 そんな「見えない要素」を丁寧に積み重ねることで、本当に集中できる空間が完成するのです。 足すのではなく、引く。 余計なものを削って生まれる余白こそが、心地よい仕事環境を作り出します。 あなたの暮らしに合った「集中できる場所」を、一緒に考えてみませんか?
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心に残る空間づくり。
自分たちらしく暮らすために、
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