家の印象を決めるのは、図面上の形ではなく「仕上げ」の精度だと マイナスデザインでは考えています。
素材のつなぎ目や段差、巾木や見切りなど——
一見目立たない部分こそ、空間の完成度を左右します。 「納まりのきれいな家」は、
単に美しいだけでなく、長く快適に暮らせる家でもあります。
今回は、玄関とキッチンまわりの実例をもとに、
仕上げの気配りについて紹介しようと思います。 1)納まりの重要性 納まりとは、異なる素材や部材が交わる境界のことを主に言います。
たとえば壁と床、柱と天井、キッチンカウンターと壁など。 この納まりをどこまで意識するかで、
家の完成度がまったく違ってくるんです。 ほんの5mmの段差や隙間が、
住む人の「無意識のストレス」にも「美しい安心感」にも変わります。 大袈裟ではありません。 2)実例:玄関周り 玄関は、外と中をつなぐ境界の象徴。
ここで大切なのは「段差の処理」と「素材の切り替え方」。 ・土間タイルとフローリングの高さをそろえる
・框(かまち)を極力スリムにして見た目を軽く
・巾木や壁見切りを最小限にして、面を美しく見せる このような工夫によって、
「玄関の静けさ」と「室内への流れ」が自然につながります。 3)実例:キッチン周り キッチンは素材の交差点。
ステンレス・木・タイル・壁など、異素材が密集する場所です。 ・キッチン天板と壁の隙間にシリコンを打たず、目地材で仕上げる
・吊戸棚と壁の取り合いをピタッと合わせ、影を消す
・床の見切り材を使わず、素材を一体で仕上げる 細部の整理ができていると、
どんな素材を使っても「静かな美しさ」が残ります。 4)図で見る納まりのコツ 図面で意識しておくべきは、
「線が揃うこと」と「段差が出ないこと」。 特に、
・サッシの上枠と天井ラインを合わせる
・巾木を揃えて壁面をフラットに見せる
・照明やスイッチ位置も同じラインに並べる これだけで、空間に“凛”とした印象が生まれます。
納まりとは、いわば「設計者の気配りの言語」です。 仕上げは、最後ではなく「設計の最初」に考えるべき要素。
ディテールの整った家は、暮らす人を穏やかにしてくれます。 小さな気配りが、長く愛される家をつくる。 それが、マイナスデザインの“仕上げの哲学”です。
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