不完全さに宿る美しさ

家づくりにおいて、仕上がりはもちろん大切です。
けれど、マイナスデザインが重視しているのは「手の痕跡」。
つまり、誰かが確かに関わったという“気配”です。 左官の塗り跡、木の節や刃の通り、
それらは偶然ではなく、人と素材の対話の結果。
完璧ではないけれど、どこか安心する。
そんな“人の証”がある空間は、長く愛されていきます。 1)完璧ではないから、心地いい 均一に整えられた空間は一瞬きれいでも、
どこか冷たく感じることがあります。
逆に、少しの歪みやゆらぎがあると、
人はそこに“呼吸”を感じるのです。 建築とは、精度だけでつくるものではなく、
感情やリズムがにじむ「人間的な仕事」です。 2)素材が応える“手の会話” 左官のコテ跡、木の削り面、鉄の溶接痕…。
それらはすべて「素材が応えた結果」。 同じ手でも、その日の湿度、体調、気分によって
仕上がりの表情は変わります。
その偶然の積み重ねが、
唯一無二の“手の仕事”を生み出すのです。 3)長く愛されるのは、温度のあるもの 完璧なものほど、飽きるのも早い。
少しの粗さ、手触り、色むらがあるからこそ、
時間とともに愛着が増していく。 経年変化は“劣化”ではなく“成熟”。
家も人も、少しずつ味わいを重ねていけばいい。 4)設計における「手の痕跡」 マイナスデザインでは、設計段階から“手の記憶”を意識しています。
たとえば、あえて塗り壁を選ぶ、
無垢材の仕上げを残す、
造作家具に木の節を活かす。 それは“未完成の余白”を残すことでもあり、
住む人が触れて完成させていくためのデザインでもあります。 手の痕跡は、暮らしの中で息づきます。
日々の掃除で、指が触れ、照明が影を落とし、
そのたびに小さな表情が現れる。 それは、家と人が共に生きている証拠。
完璧ではないけれど、温かい。
そんな“手の記憶”を、これからも設計に残していきたいと思います。 🪶 − MINUS DESIGN −
完璧よりも、温度を。人の気配が残る家を設計します。

MINUS DESIGN BLOG

心に残る空間づくり。
自分たちらしく暮らすために、
どんな住まいがあってほしいか。
そんな問いを一緒に考える、
マイナスデザインのブログです。